防寒服・レインウェアのフィールドラカン

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更新日 2016-11-30 | 作成日 2008-02-20

新商品企画・開発記

#2370防水防寒シリーズ、2001年秋に販売を開始してから既に7シーズン目を迎えました。
このコートは発売以来約10,000着(2008年2月末現在)の累計出荷数量になりました。本当にありがとうございます。

飽きの来ないシンプルなデザインかつ無駄を省いた機能で、根強いご支持をいただいております。

このページでは、この商品を企画・開発した当時の記録をまとめてみました。

FR_New5.jpg

この商品を開発するきっかけ


 #2370シリーズを企画・開発するきっかけとなったのは、旧モデル(#1370シリーズ)をお買い上げいただいたお客様からのご感想、ご意見からでした。
 岡山の片田舎の作業服メーカー(笑)に、これほどまで沢山の有難いご意見をいただきまして、ほんとうに感謝しております。ありがとうございました。
pic11.jpg沢山のご感想をいただきました
いただいたご意見を整理し、新商品企画をスタートすることになったわけですが、

 「お客様からのご意見をお聞きして商品化する」

 というコンセプトのもと初めて商品企画に挑戦したものの、これをを実現することの難しさを実感した次第です。

 いただいたご意見をもとに、キーとなるポイントを導き出すところまではスムーズだったと思いますが、しかし、それを具体的な形にしていくというところで、悩んでしまいました。
LinkIcon【関連リンク】お客様の声を分類整理し、社内で検討した結果をまとめたものです。

「じゃあ、こんな時にはどんな形のポケットがいいの?とか、衿や袖はどんなデザインにするの?」という所で、具体的な形が、なかなか見えてこなかったのです。
 スポーツ用品、登山用品、バイクショップなどを色々巡たり、雑誌などを参考にしたり、また参考になりそうなサンプルをいくつか買って自分で着たり、ホースで水をぶっ掛けたり、いろいろ実験をしてみましたが・・・
 なかなか「これだっ!」というものに出会うことができませんでした。

 そんなときに(2000年6月の初めごろ)、あるお客様から「私が山のような99年モデルの中から見つけた「昨年のベストパーカー」と呼べるもののひとつです」と、一着のサンプルを貸して下さったのです。 とても有難くて、涙の出るような思いでした。
 それは、デザインはシンプルですが、使い勝手を考えてとても細かいところまで「しっかりと」作り上げている物でした。(定価は5万円近い商品でしたが、その価値は十分ある商品でした。)
 自分たちでもいくつかデザインを描いてみたのですが、実は、そのときの印象(完成度の高いデザイン、そして機能)がとても強いインパクトとして残っていて、頭から離れませんでした・・・

「派手すぎず、地味すぎず、カジュアルに着てもおかしくないし、ワーキングウェアとしても十分。これだったら、いけるのでは?」と、思いました。

 その商品サンプルをベースに、不必要な機能を削ぎ落とし、また必要な機能は付加するため、評価用のサンプルを作成してお客様に実際にモニターをしていただきました。

LinkIcon【関連リンク】評価用サンプル、モニター結果

#2370防寒コート 製作スケジュール

2000/4月

  • Webサイトに新商品企画用掲示板をオープンしました

6/15

  • 新型FRコートのデザイン完成
  • ※ボツになりましたが・・・

6/19

  • 新型FRパンツのデザイン完成
  • FR2000 #1910として製品化

12/06

  • 新型コートのサンプルアップのための最終企画作業に入りました

12/27

  • テストサンプルのモニターにご協力いただける方の募集を開始しました

2001/1/9

  • サンプル用生地の試験染めが上がってきました。

2/2

  • 1stサンプル(評価用サンプル)が上がってきました。

2/8

  • テストモニター用サンプル生地の染めあがり

2/18~24

  • ベトナム工場へ出張
  • サンプルについて工場のスタッフと打ち合わせ
  • 2ndサンプル完成、日本へ持ち帰る

2/26

  • ベトナム工場でのサンプル作成レポートを掲載

2段階のサンプル評価を経て完成しました。

2001年秋

  • 新商品発売

g2_pic23.jpg生産を行っているベトナムの工場です

2ndサンプルができるまで【ベトナム出張レポート】

2001/2/8 サンプル製作用、表生地が染めあがってくる

 サンプル作成用の表生地が、ようやく染めあがってきました。1ロール、50m。計算では、約15~6着製作可能。

 通常は、このような少ないロットでは染めてくれないのですが、東レさんも「そういう事だったら是非協力させてもらいますよ。」と快諾して下さったそうなので(当社、生産部長談)、ほっとしました。

 今回は、サンプルということなので、本番ではなかなか難しそうなんだけど作ってみたい色ということで、渋いオレンジにしました。ビーカーでの試験染めでは、ブラウンみたいに染まってたので、ちょっと心配だったのですが、本番では要望どおりの色にあがってて、ちょっと安心。

 今回サンプルを縫製する工場は、ベトナムの協力工場です。(国内の工場でも縫えるのですが、当社ではシームテープ加工機を持っていないため)

 これらの資材をベトナムへ送り込んでいたら、出来上がるころには春が来てしまうので、来週からのベトナム出張時にハンドキャリーで持ち込んで、なんとか1週間で作ってもらって、日本へ持ち帰ることが出来ることができないか? 無理かもしれないけど、とりあえず工場へEメールで連絡しておこう。
 1ロールはスーツケースにはとても入りそうに無いので、半分25mを裁断してもらいました。(それでも重いなぁ~~~)

2/15 工場から返事が来る

According to your information about your sample, you will bring material for us to make 10 pieces. However, we are affraid of we can notfinish it when you come back to Japan because these samples will be madeby factory 1 but they have to finish their orders until 26 Feb. Can wesend it by EMS when they finish? Please confirm us.

サンプルの件は了解しました。10枚のサンプルを作るための資材を持ってくるそうだけど、いま工場は他のオーダーでラインがふさがっているので、来週以降になりそう。間に合わなかったらEMS(国際郵便)で送るけど、それでもいいかな?

という内容でした。
う~~ん、仕方が無いので、「もし出来るようだったら、なんとか持って帰りたい」と再度お願いのメールを送りました。

2/16(金) 1stサンプル(評価用に作った最初のサンプル)

  実は、これに先立って工場から評価用サンプルがEMSで届いていましたので、日本で1週間ほど試着をしていました。
 その結果、修正して欲しい箇所が3~4点あったので、それらについて技術的に変更(改良)が可能かどうか? 当社の生産部長と打ち合わせをしました。

  • ・袖裏をナイロン100%の素材にしてもらう
  •  ※1stサンプルでは、袖の裏がフリースだったので、暖かいが、重く、動きにくかった。
  • ・衿に綿を入れてボリュームを持たせてもらう(60~80g/平米)
  •  ※首のフィット感が足りない
  • ・袖口から中の袖が出てこないように、縫い付けてもらう
  • ・各ポケットの中の孫ポケットは削除
  • ・胸ポケットのシームテープをしやすいように、ポケット内部の仕様を変更
  • ・裾の裏の縫い付け箇所をは、もう2cm上にあげてもらう。

など・・・

2/18(日) ベトナムへ出張

 今朝は5時起き。関空からベトナムホーチミンシティへ。午後3時半(現地時間)タンソンニャット国際空港へ到着。
今回で6回目のベトナム出張ですが、今回始めて税関でスーツケースを開けられました。
サンプル用の生地やファスナーだけは没収されませんように!!と祈るような思いでスーツケースをあけると・・・
「何か?機械が入っているか?」という質問・・・・
「自分で使うためのプリンターが入ってるけど・・・」
「ああ、それならOK。行ってよし!」
「ふぅ・・・助かった。」
ホテルにチェックインして、夕食を食べにいって、こちらの時間で10時前に就寝。

2/18(月) 工場での打ち合わせ

 7時半ホテルのロビーに集合(2時間の時差なので、日本では9時半)。工場の車が迎えに来てくれました。8時ごろ工場へ到着。

 この工場は、私達のメインの工場で、10数年の付き合いになります。同じ敷地内で3つのセクションに分かれていて、私達が主に生産している現場型の作業服は「WorkShop2」という工場で作っています。

 ここの「WorkShop1」では、ヨーロッパ向けに防寒服(カジュアルウェアやスキーウェアなど)を作っていて、透湿防水素材には欠かせないシームテープ加工も得意です。毎日発注元の担当者(ドイツ人)が、検品や連絡などで工場を訪れています。今回のサンプルは、こちらの「WorkShop1」で作ってもらうことになりました。

pic15.jpg型紙を起こしてくれたMr.Luyen この工場の責任者は副社長であるMadam HONG(ホンさん)(社長の奥様)。そして、テクニカルスタッフの責任者(Mr.Luyen)との打ち合わせ。

pic12.jpgこの方がホンさん まず、衿にフリースを使っているのですが、「もうすこしボリュームを持たせて首筋にフィットさせたいので、中に綿を入れて欲しい…」と伝えると、いきなりハサミを持ち出してサンプルの衿をジョキジョキ・・・
「ここへ綿を入れるの?何グラム入れる?」
何グラム入れば適当かのか?さっぱりわからないので、「えっと、首にフィットさせたいんだけど・・・」と伝えると、
「たぶん60g/平米ぐらいで大丈夫だよ」pic13.jpg袖に入れる綿は120g/平米
ホワイトのマーカーペンで「ここに60g」と記入。
「袖の裏はフリースじゃなくて、ポリエステルの素材にして・・・、袖を通しやすいので・・・」
「あれ、肩裏に使っているフリース、この量じゃ、たぶん用尺が足りないよ…3枚くらいしか取れないと思う。」
「えっ?なんで?」(あれ?仕様違ったっけ?いきなり、トラブルかぁ?)
「この間のサンプルを作ったときに使ったものでよければ、工場にストックがあるので、それを使えるけど、どう?」
「ほっ、助かったよ。」
pic14.jpgどんどん解体される1stサンプル ファスナーは日本から持ってきたので足りるかな? あれ? これも20本しかないぞ・・・ファスナー付きポケットは全部で3つあるから10着のサンプル作るのに足りないじゃん。こまった・・・
 こちらのYKKに頼んでる時間も無いし・・・と思案してると・・・
「それに、今回持ってきた表生地は7着ぐらいしか取れそうにないねぇ~~~」
「あれ?そうなの? あぁ~じゃあ、ファスナーは1本足りないだけか・・・」
ってわけで、今回7着のサンプルを作ってもらうことになりました。
う~~ん、しっかり確認しておけばよかった。
 とりあえず、事前に打ち合わせしておいた変更箇所を全て伝えて、工場側からは更に下記の修正を加えた方が良いとのアドバイスでした。

  • ・脇の下から袖にかけて縫製パターンを変更(そのほうが簡単)
  •  ※「こんな風になる」というサンプルを見て確認。デザイン的には問題なし。
  • ・裾から脇の下にかけての縫製はステッチにせずにオーバーロック処理(縫製が楽)
  • ・今回持ち込んだ表生地では、7着縫製可能
  • ・ボタンや鳩目は工場のストックを使う
  • ・フリースの用尺(1着縫製するのに必要な生地の長さ)が足りない(3着分しか取れそうにない)

※3着は今回持参したフリース、3着は1stサンプルで使っていた工場のストック(フリース)を使う、残り1着はポケットの裏に使っていたトリコット素材(#1370で使っているものと同等品)を使い、それぞれで着心地を試すことに・・・

2/24(土) サンプル完成

pic17.jpgおっ!できてるやん! 「いま、他のジャケットのオーダーで工場のラインがふさがっているので、今週中に仕上げるのはちょっと無理だろうねぇ??」

 という返事を事前にもらってはいたのですが、気になってたので何度か工場を覗いてみましたが、やはり、それらしき物の気配が無かったので、諦めていました。

pic16.jpgボタンの位置を調整 しかし、最終日(土曜日)になって、工場の方と一緒にランチを食べていると「いいニュースだよ!あの7枚のサンプルだけど、今日中になんとか仕上がりそうだよ。」「ええっ?!そりゃ!凄い!ありがとう!」ってわけで、早速工場へ行ってみると、なんと、ほぼ出来上がっているじゃないですか?! あとは、ボタンをつけてアイロンをすれば完成。

もしかしてビックリさせようと思ったのかなぁ~~。

「う~~ん、たしか昨日までは違うものを縫ってたぞ・・・いつの間に縫い上げたんだろう?」

とにかく嬉しかったです。

pic18.jpgボタンをつけて完成 1stサンプルの段階では、ずいぶん重く感じたのですが、今回はとても軽い! (今回の変更点は表生地と、袖のフリースをナイロンに変えただけなのですが・・・かなり変わるもんですね。)

あとは、ボタン付けの機械を調整して、ボタンをつければ完成。

pic24.jpgこんな風にアイロンがけをします フードを眺めていたホンさんが、「フードの口を覆う部分のベルクロだけど、こういう風にしたほうが使い勝手いいんじゃないの?」

 「今の仕様はアジャストできるようになっているけど、交互に取り付ければ、使わないときにたためるのでスーマートかもよ?」 という提案でした。

 「そりゃ、面白いかも?1つだけやってみよう。」ということで、早速その場で、縫い付けてあったベルクロを取り外して、ためしにやってみることに・・・

 5分もしないうちに完成。実際にかぶってみたけど・・・使わないときはベルクロ部分がブラブラせずにスマートだけど、使う時にはやっぱりアジャストが出来た方がいいなぁ~~~

 何はともあれ、その場で色々やってみられるのはいいなぁ~と感じました。例えば、お客さんと一緒に工場に入ってもらって、現場のスタッフと一緒に「あ~だ、こ~だ」、って感じで改良できたら面白いでしょうね。

pic19.jpg最終調整仕上げは、アイロン。人体に服をかぶせると、内側から蒸気が出て膨らんだ状態でアイロンをかけられます。

最後に、確認。

「胸のポケットに使うファスナーだけど、今は幅が5mmだけど、3mmで十分だと思うよ。」

とホンさん。

「ふむふむ・・・」


あれ? ちょっと忘れている箇所があるぞ・・・!

「袖口を、縫い付けて欲しかったんだけど・・・」

「あぁ、これは忘れてるわね。」


 今の仕様では、袖を通したときに、袖口から中が出てきてちょっと格好悪くなるんだよなぁ~~初日にちゃんと伝えたんだけど。

 まぁ、時間が無かったところを、無理言って作ってもらったので、仕方が無いかなぁ~~、シームテープしてあるので、今からほどけないし・・・(^_^;)
pic20.jpgひとつの服に、こんなに沢山のパーツを使います
 もしかしたら、シームテープ加工の関係上、縫い付けるのは難しいのかなぁ? ここは改善の余地あり?


「あと、フードの口の部分だけど、ここは表素材を両方に使っているけどワンレイヤーで十分じゃないかな?」

との提案。

 というわけで、なんとか無事に評価用の2ndサンプルが完成し、予定通り日本へ持ち帰ることができました。

pic25.jpg無事に完成しました!

 おかげさまで、2370シリーズは、2001年初年度は予定生産数量を超えるご注文をいただき、きゅうきょ追加生産を行いました。次年度(2002年、秋冬)からも継続生産が決まりました。
 商品企画に際して、数々のご意見をくださったお客様のおかげでございます。またお買い上げいただいたお客様から多くの応援メッセージを頂戴いたしました。
 私ども物を作っているメーカーといたしましては、これほどありがたいことはなく、大変な勇気を与えてくださった思いです。
 ほんとうにありがとうございました!!